声の知識

ロックシンガーのボイストレーニング【メールのやりとり】

更新日:

先日とあるロック・ブルースシンガーからボイトレをしたいという旨のメッセージを頂きました。
バンド活動をされてて、聴く人を圧倒する声量、味をお持ちのTさんです。

せっかくなんで、その方とのメールのやり取りをそのまま記事にしてみました!

ボイトレをしたい動機・悩みを確認

Tさん

こんにちは。優樹君は歌教えてるんだよね?
実は鍛えたくて。Iさん(某ピアニスト)に相談したら、優樹君がいいんじゃない?と聞いたので。
ちゃんとした喉の使い方がしたくて。

ねこさん
お疲れ様です。 はい、ボイストレーナーとしてボイストレーニングを仕事にしてます!

先日のイベントでお聞きした時に、Tさんの歌のスタイルと発声のやり方はもう確立されてる感じがして、特にボイトレは必要ないのでは?と思うのですが、何か現状に問題があるんですか?

Tさん

1. 音域を広げたい

2. ピッチをちゃんとしたい

3. 声の伸びが衰えてきたような…

という感じ。
喉をちゃんと使えてないんじゃないか?と思ってね。

例え話で発声のしくみを説明

一番分かりやすい説明って、その人が知ってるものやスポーツに置き換えて話すことだと思ってます。
Tさんはギターをこよなく愛するミュージシャンなので、今回は歌をギターに例えてます。

ねこさん
音程の出し方って、どのパターンを使ってるかって人によって色々で。

ギターで例えるなら、Aの音を出すのに

1. 6弦の5Fを弾く
2. 6弦のペグを閉めまくって音程上げて開放で弾く
3. 5弦の開放弦を弾く
4. 4弦を強引にゆるめて開放弦で弾く

一つの音程出すにも色々パターンがあるみたいな。
音楽に決まりはないからどれもありみたいな。

んで、Tさんの声の出し方は大量の息を声帯(ギターでいうとこの弦)にぶつけて振動させるパターンです。

そのパターンの長所は、

  •  爆発的な声量が出る
  • しゃがれた感じの味がある声が出る
  • ロックと相性がいい

ただその代償として短所があります。

  • 小さく高音が出せない
  • 裏声が出にくい
  • 疲れやすい
  • ピッチが不安定
  • 声が年々変化していく
ねこさん

ボイストレーニングをする事が全員に最良とは限らない

ねこさん
Tさんの希望を叶えようとすると、
まず息を減らして(つまり小さく出す)、音を鳴らす訓練をしてく流れになります。

ただ、それはTさんの発声スタイルには辛い訓練になると思うのですが…

長所の分の代償だと思うので今のままでいいのではないでしょうか?

Tさん

なるほど。
出来れば今より少し緩めて似たような感じで歌いたいのよね。その分、音域を広めにとれるものかな?

今はネットとかを見て喉を広げて痛めないような歌い方の練習をしてるんだけど、それが正しいか分からなくて。

正しい発声方法をすることで裏返ったり一時的に下手になる

ねこさん
息ってのは、ギターでいうとこの右手みたいなものです。

弦が弛んでると右手で強引に弾くしか振動させられないじゃないですか。
多分Tさんの喉の中にある声帯も同じで、しっかり張られてなくてたるんだ状態になってるのでは?と思います。
だから息を多めに送って振動数を稼いでるんだろうなぁって予想です。

なので、声帯を引っ張ってテンションを作る筋肉(ペグみたいなもの)を刺激してあげて動くようになれば、理論上はもっと省エネで、ピッチも安定した音を作り出すことは可能です。

ただ、音域をどちらにイメージされてるかにもよりますけど、この方法をやろうとすると序盤(数ヶ月から1年)は、むしろ音域は狭くなります。 あと裏返りやすくなり、歌ってて勝手悪くなります!

裏声系の筋肉(前筋・後筋)とトレーニングの必要性

地声・裏声って単語自体は誰でも知ってると思います。 ところが、喉の中でどんな筋肉が働いてる〜とかをご存知の方は少ないでしょう。 ねこさん今回はそんな裏声の解説と必要性について語っていきたいと思います! ...

続きを見る

Tさん

)゚0゚( ヒィィ

なるほど。じゃあ活動しつつってのはリスク込みってことになるなー。

バンド活動をしてる人のボイトレはリスクも伴う可能性がある

ねこさん
はい。だからバンド活動されてる方がボイストレーニングしたいと言われる時は最初にしっかり説明しています。

長年続けてきたフォームを変えるようなものなので矯正してる段階はかなり苦痛だと思います。
特にロックの方が嫌がるような弱々しい声ばかり使うことになるので、ストレスだと思います笑

というわけで、このスタイルのままでボイトレなんてしなくていいのでは?が僕の見解です!
ロックの歌手って、年々声が出なくなる人がほとんどで、それがロックだ!みたいなところもありますし(笑)

ボイトレで声を作るには地道な練習と忍耐力

Tさん

もう50前なので声を張らずに歌う方法をとった方がいいのかな?
正直、衰えたくはなくて…

ねこさん
うーん、そこはスタイルなので何とも言えないです…

Tさん

そうよね。それもあるけど劣化したくない。

ずっと今が全盛期と言いたい!

ねこさん
地道な練習耐え得る忍耐力があれば、勝手悪さを越えた先にもっと楽で安定した声はあります!

兎にも角にも忍耐力かなぁ…と笑

Tさん

に、忍耐ね…( ;゚³゚)
来年、レコーディングをしようと企んでたので、もうちょっと考えてみるわ。
ゴメンね、忙しいのに。

ねこさん
いえいえ!こちらこそお役に立てずすみませんでした!

結局のところは蓋をあけて見ないと分からない

以上です。
せっかく紹介がありレッスンをしたいと言ってきてくれたのに、それを帰してしまったわけです。

実際に色んな母音と音程で声を聞いてみないことには詳細な状況までは分からないので、僕がとった行動が正しかったのか?という疑問は残ります。

ねこさん
ただ「ボイトレをやれば声は絶対に良くなりますよ!」みたいなことを軽はずみに言えない正直なところが僕の長所であり短所だなぁと思いますw

-声の知識

Copyright© YOU VOICE LABO , 2019 All Rights Reserved.