歌ってると、
- サビのこの部分になると歌いにくい
- ここの部分にくると声がよく裏返ってしまう
って現象が起きませんか?
こういう時は大体、
フレーズに換声点が含まれてます。
ブリッジって言い方もしたり、ブレイクポイントとも言ったり。
クラシックの方だとパッサージョとか言ったり。
換声点(ブリッジ・ブレイク)とは?
一言で言うと嫌なポイントです。
裂け目。
変化が起きる場所。
より専門的な言い方をすると、
喉の中の地声系の筋肉と裏声系の筋肉の仕事の分担割合がシビアになる場所です。
この地点までは、
どちらか一人の頑張りでも何とかなってたが、この音程以降はどうしても協力をしないと支障を来す的な。
喉の中だけではなく、外も総動員で支えないと攻略は不可能と言えます。
まぁ、簡単に言うと関所かな。
男女の換声点の音程
さて、そんな換声点の音程についてです。
メソッドによっては細かくポイントをマークしますが、僕は3箇所知っておけば問題ないかな?って思ってます。
一般的な男性(テナー)
- 1個目のブリッジ:E4〜F#4
- 2個目のブリッジ:A4〜B4
- 3個目のブリッジ:D5~E5
一般的な女性(ソプラノ)
- 1個目のブリッジ:A4〜B4
- 2個目のブリッジ:E5〜F#5
- 3個目のブリッジ:A5〜B5
紹介したのは一般的な2つです。
他にもアルト・バス・バリトンみたいなその人のタイプ的なやつがあって、人によって微妙にポイントが違います。
身長・手の大きさが人によって違うように声帯の質量にバラツキがあるんですよね。
ただ今回は分かりやすいようにシンプルにしました。
大体の人はこのポイントをなんとなく頭の片隅に置いてもらっとけばいいんじゃないでしょうか。
換声点での声の変化は?
では、
どんな感じの問題が起きるのか。
- 歌いにくい感覚
- 音がふらつく
- 声が裏返る
- 声が細くなる
- ビブラートがかけられない
- 滑舌が悪くなる
とかです。
換声点はプロの歌手でも苦戦する
世界三代テナーのルチアーノ・パヴァロッティさんをご存知ですか?
もうお亡くなりになったのですが、
キング・オブ・ハイCという異名を持つ方です。
C5の音、ヒゲダンの曲とかに出てくる高いドの音です。
それの王様ってことです。
そのパヴァロッティさんでさえ、
「パッサージョは難しい」
と言われてたらしいです。
世界トップクラスの喉の方でさえブリッジ越えは苦戦するんだから難しくて当然ですよね。
歌の難しさは換声点を越える時
詰まる所、
この部分を問題なく通過することが歌の最大のテーマです。
つまり、
簡単な歌っていうのはこのブリッジの通過回数が少ない曲とも言えますね。
- このポイント以前の音のみで歌う曲
- このポイント以降の音の間のみで歌う曲
換声点をなくす練習方法
では、換声点(ブリッジ)をなくすためにはどんなトレーニングがいいかと言うと、
ずばり、「裏声の強化」です。
基本的に、
地声系の筋肉と裏声系の筋肉のパワーバランスが同じであれば、
その二つを自由に行き来が出来るようになり、好きな声を選べる状態になります。
自由に行き来が出来るとことは、
声のひっくり返りがない、つまり裂け目が埋まってる状態と言えます。
裏声強化のプロセス4段階
裏声強化のプロセスを4段階です。
本当は一つ一つの練習に色んなバージョンがあり奥が深いのですが、まとめるとこんな感じです。
- 裏声を純粋に発声できるようにする練習
- その裏声で低音まで出るようにする練習
- その裏声に地声の要素を足していく練習
- どんな言葉でもその状態を保つ練習
この本が分かりやすいと思います。
1つ目のプロセスに関しては言及されてませんが、ボイトレ初心者の方でも取っ付きやすいと思うので。
ただ、取っ付きやすいですが難易度は高めな本です。
換声点をなくすのに何年かかる?
さて、
一体どれくらい練習すればこの換声点がなくなるかですが、
本で言われてるのは、
最短で6年です。
ただ、それは
- 素質がある(柔軟な喉・性格)
- いい指導者
- 毎日数時間の練習
という条件が揃っての年数。
僕個人の意見としては、10年あってもムズカシイのでは?です。
20年、30年はかかるって言っても大袈裟じゃない気がします。
もちろんどのくらいのクオリティで換声点をなくすのか?
にもよります。
例えば、
「歌ってみた」「弾き語り」「バンド」というジャンルによっても求められる声量や声質が違うので換声点を超える時の難易度も違います。
小さい声で歌うのであれば数年、
もしくはごまかす感じなら数ヶ月で表面上隠せるようになるとは思います。